賃貸住宅経営 今後は高齢者単身世帯への対応が鍵になる?

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空室リスクが強まる昨今、一方で賃貸住宅入居需要が大きな世代があります。

それが65歳以上の高齢者です。

ところが高齢者となると様々なリスクがあるせいなのか、賃貸住宅に入居したくてもなかなか入居できない事情があるようです。

しかしこの高齢者世帯はやがては全世帯数のなかで大きな比率を占めるようになることが産経新聞2018年1月12日の「22年後…高齢世帯44%、独居4割  厚労省推計」という記事に掲載されました。

それによると

世帯主が65歳以上の高齢世帯が平成52(2040)年に2242万世帯と2千万世帯を超え、全世帯の44・2%を占めることが12日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の推計で分かった。このうち4割は独居と推定される。同研究所は「晩婚化が進み、未婚率が増えた世代が高齢期に入ることで、独居の高齢者が増える」と分析している。

22年後…高齢世帯44%、独居4割  厚労省推計 – 産経ニュース (sankei.com)
と報じました。

2040年というと、後およそ20年後の事ですが、そのころには全世帯の44.2%が65歳以上の高齢者世帯になるというのです。

約半分近くが高齢者世帯というわけですから、賃貸住宅サイドとしても受け入れざるをえなくなっているような状況です。

さらに上記の産経新聞の記事によると

世帯構成では、「1人暮らしの75歳以上世帯」が27年の337万世帯から、25年で1・52倍の512万世帯となる。

と述べて75歳以上の独居老人の割合も増えていくことになります。

池画像

独居老人となると、高齢者夫婦よりもさらに賃貸住宅への入居が厳しくなる世帯です。

しかし独居老人も増えていくわけですから、頑なに入居を断り続けることが容易ではなくなっていくかもしれません。

そもそも高齢者が敬遠される理由は家賃滞納リスクがあるのと、孤独死だといわれています。

これらのリスクをヘッジできるような制度ができれば、受け入れやすくなるかもしれません。

追記:以下の記事もご覧ください。

空室が増えてきている昨今、その一方で高齢者のなかで住居を探していながらも、なかなか見つからないという現象も生じています。

どうしても空室が埋まらないならば、こうした高齢者の入居を受け入れるならば、丸く収まるようにも思うのですが、現実はそのようにはいかないようです。

そのようななか大和ハウス工業が賃貸住宅の管理物件において高齢者を積極的に受け入れる方向へと動きだしました。

このてについて日経新聞2017年10月20日の「記大和ハウス、賃貸で見守りや家賃保証 高齢入居者向け 」という記事によると

大和ハウス工業は自社が管理する全国の賃貸住宅で、高齢者の利用拡大を狙ったサービスを始める。健康状態を確認する見守りや、賃料の連帯保証で賃貸住宅オーナーの不安を低減し、1万人の利用者獲得をめざす。孤独死や家賃滞納のリスクから高齢者の入居は敬遠されやすいが、高齢化で需要は増える。

大和ハウス、賃貸で見守りや家賃保証 高齢入居者向け – 日本経済新聞 (nikkei.com)

と報じました。

この記事にもありますように高齢者入居者のリスクは孤独死と家賃滞納の2つのてんですが、このリスクを軽減するための仕組みをもって賃貸住宅オーナーの不安を和らげる取り組みのようです。

具体的な取り組みとしては、健康状態を確認する見守りサービスによって、住宅内での孤独死を回避することができるのと、賃料の連帯保証によって家賃滞納リスクを軽減させる仕組みのようです。

この日経新聞の記事によると

国立社会保障・人口問題研究所によると、2015年時点で600万世帯だった65歳以上の単身世帯は、35年までに762万世帯まで増える見込み。

と書かれており、高齢者の単身世帯がこんなにも多いのかと驚かされました。

そしてこの高齢者の単身世帯はさらに増えていくというのです。

こうした社会の現状をふまえた取り組みは、興味深いものがあり、さらには空室解消にもおおいに効果があるものと思います。

もちろん高齢の入居者はこのサービスを受けるためには

入居者はまず家賃1カ月分の相当額を支払うほか、毎年2万円の更新料が必要になる。

と日経新聞に書かれているとおり、幾らかの費用負担が求められますが、年間2万円程度ということですから1カ月2000円ほどで見守りサービスを受けれるということで妥当な額のように思われます。

今回の取り組みは大和ハウス工業によるものですが、今後は大東建託や積水ハウスによってもこうした取り組みが行われるようになるのでしょうか。