遠い昔は、新聞販売店の経営者になることは、ゆとりある生活を保証するようなものでした。
ある元店主は数十年前は、自分のお小遣いをしっかり取り分けても、奥さんに毎月生活費として50万円を渡していた時代もあったといいます。
しかし今はそうではありません。
多くの店主がギリギリの経営を強いられているようです。
これは某新聞社の阪神地区における店主の末路の一覧です。
・覚せい剤所持で逮捕
・店のお金を持って持ち逃げ蒸発 2件
・経営破たん
これは近年、筆者が耳にした出来事ですが他にもあるかもしれません。
なぜこれほどまでに販売店主が落ちぶれてしまったのでしょうか。
そもそも新聞販売店店主といえども新聞社と契約を結び独立した経営をしていくことになります。
そして新聞社には「新聞社販売局」があり各販売店を周期的にチェックしています。
つまり販売店は新聞社の下請けのようなもので、販売店の成績が悪いと新聞社販売局からの圧力がかかってくるのです。
勿論、販売店主を悩ませているのはそれだけではありません。
人材不足も深刻な問題となっています。
特に新聞販売店の場合、配達は欠かさずに行わなければならない業務です。
欠員が生じた場合は、店主やその家族が埋め合わせなければならないことも多々あるようです。
さらには集金、電話受付、折り込み業務なども行わなければなりません。
信頼できるスタッフが数人いるならば、店主にとってそれほどありがたいことはありませんが、現実は従業員によるお金の持ち逃げ、配達の無断欠勤など信頼できないスタッフによる不祥事に悩まされることが少ないないようです。
さらに収入源となる購読者の減少、広告収入の減収にも悩まされています。
よって今は新聞販売店オーナー受難の時代ともいえるでしょう。
しかし実際ところ、経営が苦しくてもほとんどの新聞販売店は従業員にきちんと給料を支払っていますし、従業員として真面目に働く場としては、今も悪くはないと思います。
追伸:一部の販売店は数年前ぐらいから、経営不振を理由に販売店の従業員の給料を思い切り下げています。
給料の未払こそなくても、昔のように割高な報酬は期待できません。
今の時代、新聞販売店で働くことは、あまりお勧めできません。
追伸:ウイキペディアにも新聞販売店の経営状況について以下のように書かれています。
主に新聞の販売益と新聞に折り込まれる折込チラシの手数料収入が経営を支えている。新聞販売店の原価率は極めて高く、粗利は低い。配達員の給与も時間的特殊性から高く、営業(訪問セールス)に支払われる対価も決して小さくはない。そのため人件費のウエイトが非常に大きい。特にチラシの多い都市部ほどチラシの収入から営業活動やいわゆる押し紙の経費を捻出している割合が高い。このような経営体系のため、チラシの指数と実際の新聞の扱い部数が乖離し、配布されることのない余分なチラシに対しても手数料を徴収していた事例が過去には非常に多く見られたが、最近では新聞雑誌部数公査機構であるABC(Audit Bureau of Circulation)の店別指数公表もあって以前よりは改善され、さらにインターネットの普及によりチラシ自体が減少傾向にあるために、その経営環境はますます厳しくなっている。
とあり、チラシ広告に依存した体質のために、チラシ広告が減少すると、まともにその影響を被ることが指摘されています。